夫婦別姓の最高裁判決文を解説!なぜ夫婦同姓は裁判で合憲になったの?

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結婚したら、夫婦のどちらかが改まる姓ですが、夫婦同姓が日本で定められてから二度目となる夫婦の姓に対する審議が行われました。最高裁判所の判決と夫婦の姓、そして世間から見た夫婦の姓と今後の流れについてお話ししていきます。

皆さんは夫婦の姓についてどうお考えですか?個人情報であるが故、もし違憲となっていればその影響は計り知れませんが、結婚したら姓が改まることの多い女性にとっては特に大事な問題です。

夫婦別姓の最高裁判決文、その内容とは?

夫婦別姓を争った裁判とは?

2015年12月に最高裁判所で夫婦別姓が合憲であるという判決が示されました。

これは、民法の婚姻の効力という節に定められた第750条「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」という、夫婦同姓の原則(婚姻届けを提出し、夫婦となったら夫婦は同姓を名乗らなければならない)に対して憲法(人格権)に違反しているのではないか、女性差別なのではないかということが争われた裁判です。

この裁判は複数の女性らによって、離婚後女性にのみ再婚禁止期間を設けている法律とともに女性蔑視なのではないかということが違憲ではないかという視点で争われた裁判で、背景には、女性の社会進出や、夫婦や個人の在り方に対する考え方の多様化といった現代社会の人々の変化があります。

夫婦別姓の最高裁判決文、その内容とは?

上記のような裁判が行われ、最高裁判所は夫婦別姓が合憲であるという判決を下しましたが、その内容は以下のようなものでした。

原告側が訴えた内容

民法第750条の夫婦同姓の原則は、夫婦において96%以上が夫の氏を選択するため女性のみに不利益を負わせており、憲法第13条、14条、24条1項、24条2項に違反すると主張し、損害賠償を求めました。

憲法13条は個人の尊重について。14条1項は差別されないことについて。24条1項は夫婦が同等の権利を持つことについて。24条2項は夫婦に関する法律は男女平等に定められるということについて、それぞれ述べている条文です。

結婚して戸籍上の姓は変わっているが、通称姓は旧姓を利用している女性らを中心とした女性らの原告側は、上記について違反しているという訴えを起こしました。

最高裁判所の判決は?第13条について

引用元:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/546/085546_hanrei.pdf
※以下は判決文を一部変更して記載しています。

※人格権:生命や身体、自由や名誉など個人が生活を営むなかで、他者から保護されなければならない権利を指し、憲法13条などが保障する。
引用元:https://kotobank.jp/word/%E4%BA%BA%E6%A0%BC%E6%A8%A9-81378

憲法上、法律上、社会上の氏の性質について

氏は名前と同じように、個人の意義として存在するものであるとしつつも、個人の意義以上に、法律上などの社会的に必要なもの(例えば遺産相続の際などに必要な法律上の家族関係など)として存在している性質が強く、また家族とは社会の基礎の集団であることから氏を統一することは合理的であるとしています。

婚姻の際に氏が変わることについて

氏には、上記で述べてきたような性質がある上、今回問題になっている夫婦同姓の原則の条文に関しても夫婦のどちらか一方に強制しているものではないので、憲法違反ではないとしています。

氏を改めることについて

→憲法には違反しないものの婚姻によって氏が改められることで不利益が生じることは認められるので、今後検討していくべき点であるとしています。

最高裁判所の判決は?第14条について

夫婦同姓の原則を定めた民法について

→女性側が氏を改めることが多かったとしても、夫婦間の協議のうえでそういった結果になっているのであって、夫姓が選択されるのは夫婦同姓の原則によるものとはいえない、そのため、憲法違反ではない。といった内容です。

夫婦の96%以上が夫の氏を選択していることについて

とは言いつも、女性側が氏を改めていることが圧倒的多数を占めている状況をみてみると、今後検討していくべき点と考えられる。としています。

最高裁判所の判決は?第24条1,2項について

第24条1項の定めているものについて

→婚姻を結ぶかどうか自体を定めているものであって、婚姻の際の氏について言及したものではないとしています。

憲法第24条1項における氏の選択について

もし、婚姻の際の氏の選択が婚姻するかどうか自体(第24条1項)の制約になっているとしても必ずしも、婚姻の際の氏の選択が制約になっているとはいえないとした上で、事実上制約になっているのであれば今後検討していく点としています。

憲法24条2項について

具体的な法制制度の内容が定められていくものなので、議論を国会に委ねるとしています。

全体を通した判決内容

全体を通してみると、結果は「違憲ではない」という判決を下していることから、どの条文に関しても、当然ながら違憲ではないとしていますが、その中でも、姓が改められることについて不利益が生じることを認めてはいる内容です。

しかし、それがこの夫婦同姓の原則によるものであるか?ということに関しては、どの条文に関しても肝心な部分を「国会に判断を委ねます」といった内容になっています。違憲かどうかを争う裁判でこのような判決内容では、第三者の目から見てもなんのための裁判だったのだろう?最高裁の判決はこれでよいのか?と少し疑問が残ってしまうような内容ですね。

夫婦同姓を定めた法律って?

そもそも夫婦同姓とはこういう目的のために定められた法律

つまり、夫婦同姓が始まったのは、男性の戸主を統率者として家族を戸籍で管理する明治時代の「家制度」というものが始まりでした。その後、第二次大戦終焉後の昭和22年に家制度は廃止されたものの、戸籍を家族単位で管理するために夫婦同姓を原則としていることには変わりはありませんでした。

こんなところに影響がある法律

日本以外の国では当たり前で、日本でも定められたのは明治時代までさかのぼる程の一見古いだけの夫婦同姓の原則ですが、もしこれを変更するとなれば、その歴史が長かったことや、個人を特定する最も重要な個人情報のひとつであるため、その影響は計り知れないほど多岐にわたります。

例えば、戸籍の記載方法や、会社に届け出ている書類や、子どもの保育園や学校での先生からの呼び名や書類、通帳や病院に届け出る保険証の記載方法なんかにも変更が出てくるのではないでしょうか。

個人のキャリアや尊厳のためには夫婦別姓を認めるべきですが、最高裁判所の「国会の判断に委ねる」という逃げ腰の判決は、こうした多方面への大きな影響があることを懸念しての判決だったのかもしれませんね。

多方面から見た夫婦の姓

世界から見たら夫婦同姓が法律で義務付けられているのは日本だけ

世界から見ると、かつては夫婦同姓を原則としていた国もあるものの、現在も夫婦同姓を法律で定めているのは日本だけです。

さらに日本では夫婦同姓を夫婦間の協議によって決めるものとしてはいるものの、96%の夫婦が夫の姓を選択している現状もあり、国連の女性差別撤廃委員会を中心として世界からは厳しい目を向けられています。

日本の夫婦姓の歴史

そのような現状の日本の夫婦姓ですが、日本でも夫婦同姓が定められる前の明治維新までは夫婦別姓が原則でした。またそもそも、日本では氏を名乗れるのは武士の特権であり、国民みんなが氏名を名乗れるようになるまでには長い時間がかかりました。そのような歴史を経て、実はこれまでにも一度夫婦同姓の原則について争われたことがありました。

1990年代以降女性ばかりが氏を変える夫婦同姓の原則に疑問を唱える声が高まり、1996年に国の法制審議会が希望すれば別姓を認める「選択的夫婦別姓」の導入が検討されたのです。しかし、この際にも「家族の絆や一体感が弱まる」といった保守系議員の反論が強く、導入には至りませんでした。

それから20年経って再び夫婦同姓について争われたわけですが、その結果は肝心な部分を「国会に委ねる」といった内容だったので、この歴史を見てきてもとても疑問に残るような内容だったのです。

夫婦別姓を希望する女性の現状

夫婦別姓を希望する女性の意見で多い、夫婦別姓を希望する理由には、アイデンティティが損なわれる、自分の名で死にたい、仕事上不便不利益、といったものが大半をしめており、中には自分が一人娘であるため、家の姓を継ぎたいといったものもあります。

また、国際結婚をしている女性からは外国人と結婚すると夫婦別姓が認められるのに、日本人同士だと認められないのは不平等だといった意見もあります。

そのほか、仕事上やアイデンティティの理由から、婚姻を解消して事実婚になった夫婦や、そもそも婚姻を届け出ず、最初から事実婚を選ぶ夫婦もいるようです。

夫婦別姓を希望しない女性の現状

逆に夫婦別姓を希望しない女性は好きな人の名字になれるのがうれしい、今も夫婦で話し合って姓を選択できるのだから問題ない、仕事では旧姓利用できるので問題ないといった意見を持っているようです。

また、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が12、13両日に実施した合同世論調査によると、
※以下抜粋
引用元:http://www.sankei.com/affairs/news/151216/afr1512160045-n2.html
→年齢別でも、これから結婚する層が多い20代でさえ21.1%にとどまった。
となっており、夫婦別姓に賛成意見は多いものの実際に夫婦別姓にしようと考える人はまだあまり多くないようです。こうした結果ももしかしたら、最高裁判所や国会での議論を現状にとどめさせている原因があるのかもしれませんね。

男性側はこう考える夫婦の姓

姓について悩んでいる妻をそばで見てきたからこそ、その考えを尊重し、事実婚を選ぶ男性や、結婚から数十年経ってから事実婚になる男性もいるようですが、自分が妻の姓に変えて、何年も悩みを抱えている人もいるようです。

また、結婚は個人の問題ではなく、親族も巻き込んだものだから姓が選択できるようになったとしても慎重に考えなければならないと考える人もいるようです。

そのほか、柔軟に考えたい、相手の考えを尊重したいと思いつつもやはり結婚後は自分の姓を名乗ってほしいと考える男性も多いようです。

夫婦別姓は今後も合憲のまま?

世間の流れ

これまでにも見てきたように、世界から見たら夫婦同姓は日本のみである上、厳しい目を向けられていることや、女性を中心に夫婦別姓を求める声、また女性の社会進出によって、職場で旧姓利用が認められない場合などは女性が不利益を被っているという事実もあります。

そのため、夫婦別姓を求める声は強くなってきている。とはいえ、実際に夫婦別姓にする人はまだ多くはないというのが現状のようです。

今後予想される方向性

世間の流れや、家族や夫婦の在り方が変化してきていることや、これからもまた変化していくことを考えると日本でも夫婦別姓または選択制がとられることはそう遠くない未来なのかもしれません。

これからの生活にはどう影響してくる?

現状の流れや今回の裁判の結果を見ると、夫婦の姓に関しては多方面にわたる難しい問題であることがわかるので、すぐ来年にでも変わるというものではありませんが、もし、夫婦別姓、選択制に変わるのであれば、地域の役所や職場など、所属箇所への届け出関係などは大きく変化するかもしれません。

しかし、同時により個人が尊重されるひとりひとりが個人がとして活躍しやすい未来になるのかもしれません。

まとめ

今回は夫婦同姓を法律によって定めることは、今の日本社会の現状から考えて「違憲であるか」争われましたが、その結果は女性に不利益を生じていることも認めながらも合憲でした。世論ではまだまだ夫婦別姓を希望する人は少ないものの、賛成者が半数以上いることや、世界からの圧力を考えると、夫婦同姓が違憲となる日もそのうちくるかもしれません。

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